健康長寿に欠かせない我々の口腔領域
平成22年11月14日、大阪国際会議場にて朝日大学歯学部同窓会特別学術講演会が開催されました。今回は特別学術講演会ということで、講師に日本歯科大学教授小林義典先生をお招きし「健康・医療・福祉の趨向と咀嚼・咬合」と題してご講演いただきました。
超高齢社会が避けられない今、従来の削って詰める歯科治療という狭い分野だけにとどまることなく、歯科医療が最も目指すべきものは咀嚼機能の回復であり、我々歯科医は日々研鑽を積まなければならないとお話になりました。
咀嚼機能が正常に営まれることにより、唾液が分泌され、歯・歯周疾患の予防はもとより、消化器粘膜の保護、食物の発ガン性や抗原の減弱、活性酸素の消去、抗菌性の向上、老化の抑制、糖尿病の予防と治療効果の促進等々、口腔領域の重要性を改めて再認識できたことと思います。
また、この一連の効果を最大限に引き出すためには、1回につき30回以上の咀嚼が望ましいとのことでした。
ファーストフードに偏りがちな食事、孤食、高齢者の摂食機能を考慮されていない食事形態(胃ろう等)のため咀嚼が軽んじられていることは、健康に生きることに逆行していると言えます。今後、我々歯科医が患者のQOL向上のために正常な咬合をガイドし、咀嚼機能を高め、医科領域とも連携していくことで、健康から福祉に十分貢献できるということは素晴らしいことです。
先生はご自身のご研究のほかにも、広い視点で多岐に渡り最先端の研究結果もご提示くださり、日々診療に明け暮れる我々にとって大変有意義な講演会となりました。
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