咬合を再考する
第4回学術講演会が2011年2月20日に大阪国際会議場で開催された。講師は岡山市開業の白数明義先生で、「シークエンシャル咬合(順次誘導咬合)の概念と臨床応用」と題して講演された。
前半はシークエンシャル咬合の導入として、咬合とは従来の咀嚼・審美・発音・呼吸・嚥下などの機能の回復のみを目的とするのではなく、ストレス管理となるブラキシズムの重要性が説明された。
ともすると難解な咬合論であるが、ストレス発散のためのブラキシズムについて、テレビ番組で一般視聴者向けに解りやすく放送されたビデオで解説され、シークエンシャル咬合になじみのない受講者にも大変入りやすい講演であった。
後半は咬合診断とは単なるチェックバイトの問題ではなく、@顔面骨格 Aあごの位置 Bかみ合わせ を診断する必要があることについて、症例を通して解説された。
症例では幼児期には生えてくる歯の高さの環境により顎の環境がつくられ、咬合高径の変化による下顎位置の回転と下顎の成長方向が密接に関連していることを述べられた。
またブラキシズムのための咬合を獲得するため成人期から高齢期における咬合再構築について、先生ご自身の治療も含め 幼児から高齢にいたるまで多岐にわたる症例を提示された。
先生は岐阜歯科大学2期生で、現在は朝日大学歯学部御卒業のご子息と共に術者による差のない診断・治療法の確立のためにも、シークエンシャル咬合を実践されている。
今年度開催された4回の学術講演会のうち3回が朝日大学歯学部同窓会会員の先生による講演であった。白数先生の医院のように、知識の継承・発展が活発に行なわれることで、朝日大学歯学部同窓会から歯科界の発展に寄与できるのではないかと思いました。
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