インプラントとモディファイドティッシュマネージメント
平成23年11月27日、第3回学術講演会が大阪府吹田市江坂のサニーストンホテルに於いて開催されました。今回は講師に本学歯学部3期生の小坂恵一先生をお招きし、『インプラント八景 歯医者の独り言 ―インプラント治療におけるティッシュマネージメントの新手法と困難な症例の解決法―』と題してご講演頂きました。
講演の中で先生は、インプラント治療によって顎関節症を誘発する危険性について述べられ、咬合器を利用した十分な模型診断の必要性について述べられました。また、先生が考案された改良型遊離歯肉移植術について述べられました。この術式は、移植片の生着率を高める画期的な手法でありました。従来の遊離移植術と大きく異なる点は、受容体である歯槽粘膜部の創面を縫合する事によって創面を露出させないために、フィブリン網による移植片の包含治癒が起きずに、それぞれが単独治癒する点であります。そのため、改良型遊離歯肉移植術では、術後の移植部の角化粘膜と歯槽粘膜部は境界明瞭で、視覚的にも機能的にも安定した治癒が期待できるとの事でした。また、それぞれが単独治癒する事により移植片の寸法変化が起きにくく、通常必要とされる歯周パックも必要ないとの事です。
本日の講演を聴講して、遊離歯肉移植術が必要とされながらも難症例であるがために敬遠されてきた部位に対しても、先生が考案された改良型遊離歯肉移植術は安定的な好結果を保たれており、この術式を活用する事により、我々臨床家はインプラント治療のみならず、歯周外科治療においても大変有効な一助をご教授して頂いたと思いました。
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