包括的歯科治療に基づく長期安定性のある機能美
平成24年10月28日(日)、江坂サニーストンホテルにおいて、第1回学術講演会が開催されました。講師に本学出身の宮前守寛先生を御招きし、「Longevityを考慮した審美歯科治療―機能美を求めて―」と題して、御講演頂きました。
講演の中で先生は、Longevity=永続性を保つために、@歯周治療、A補綴治療、B咬合治療の3つを柱とし、午前の部では@歯周治療と、オールセラミッククラウンを用いたA補綴治療について解説して頂きました。特に歯周治療では、炎症性歯肉の改善や、歯槽骨レベルを保つためのエムドゲインや骨補填材を用いた再生治療、歯周外科手術を行い、歯頚部ラインの改善をはかった数多くの症例写真を見せて頂きました。オールセラミッククラウンについては、オールセラミックの変遷について御教授して頂き、特に前歯部において、ラミネートべニアと合わせて補綴する場合は、原則としてまずラミネートべニアを装着してから、オールセラミッククラウンを形成・装着するとシェードが合わせやすいと教えて下さいました。また、先生は歯根破折や金属イオンの溶出による歯肉の変色等の危険性を回避するため、金属性の支台築造はせず(メタルコア)、ファイバーコアを用いた支台築造を行い、口腔内で直接築造する直接法について詳しく解説して下さり、先生が日常使用しているボンディング材やレジンコア材について具体的に御教授して頂きました。
午後の部では、受講生2名をモデルに15分程の咀嚼筋のマッサージで、開口障害を改善する方法を教えて下さいました。その中で先生は、特に重要な咀嚼筋として顎二腹筋(後腹)、胸鎖乳突筋、前・中・後斜括筋を挙げ、それら咀嚼筋の緊張をほぐす事により、モデルとなった受講生の開口量が、施術前と後とでは、開口量が1p近くも改善され、その劇的な変化に我々受講生は驚かされました。続いて、B咬合治療では主にバイトプレートを用いて咬合高径を改善した症例を解説してくださり、口腔内のプロビジョナルに直接レジンを盛り、患者の一番楽な咬合高径に改善していく様子をダイナミックに見せて下さいました。先生はそれら、咬合治療では、顆路安定位における咬合嵌合位の確立が重要だと述べられていました。
講演の最後に先生は、機能美を求めるのも大事だが、その前に患者の気持ちを踏まえた優しい気持ちでの治療、心の美が我々歯科医師には大事であると述べられました。本日の講演では貴重な症例写真を数多く拝見し、我々受講生にとっては大変有意義な一日であったと思います。
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