学術講演

開催報告

咬合と咬合器と顎関節症
2012.12.02

 平成24年12月2日、タカラベルモント大阪本社会議室にて2012年度第3回学術講演会が開催された。講師には当同窓会前会長諏訪兼治先生をお招きし、「咬合と咬合器と顎関節症」と題した講演が行われた。
 まず、中心位とは顆頭安定位で関節の位置を示すものと定義され、上下の歯牙の位置関係とは無関係で、関節の位置異常を不正咬合というが誤った解釈だと述べられた。
 従来の咬合器では顆頭球の位置を調節できないため、フェイスボウを用いて咬合器に模型を装着しても顆頭が本来の位置に再現できず誤差が生じ、咬合治療が難しいものとなっていた。
 中心位は閉口位から3ミリ〜25ミリの幅の間は蝶番運動であるので、パラフィンワックス3枚から7枚の間で複数咬合採得し、諏訪先生自身が考案された顆頭球の位置が調節できる咬合器に装着すれば、本来の顆頭の位置が再現でき、治療の結果が予測しやすい利点があることを説明された。
 また理論を実証するような症例を多く拝見させていただき、中心位・習慣性咬合位とは何かを考えさせられ、日々の咬合採得をもう一度見直す機会になり、大変有意義な講演会となった。
 講演終了後も質疑応答が相次ぎ、熱気に満ちた会場であった。

←BACK