「口腔機能低下症」を考える −その診断と対応法について−
高齢社会において歯科医療が今後求められる事
令和元年6月30日(日)、大阪・サニーストンホテルにおいて第1回学術講演会が開催されました。演者には本学口腔病態医療学講座 障害者歯科学分野教授の玄 景華先生をお招きし、「口腔機能低下症を考える」と題しご講演いただきました。口腔機能低下症は平成30年度に新しく保険収載された病名で、我が国がこれから直面する歯科医療の問題に直結する重要な分野であるにも関わらず、具体的な検査法や治療法についてはあまり知られていないのが実情です。
本講演ではそのような現状を解決すべく、まず午前中の講演では高齢者・障害者患者の特徴や訪問診療のポイントについて解説していただきました。特に訪問診療における口腔ケアや医科歯科連携の重要性を特に強調され、その他実際の臨床例における補綴治療の勘所なども大変わかりやすくご説明いただきました。
午後の講演では摂食嚥下機能について、その具体的な評価法や障害があった場合の訓練方法、さらに、それらを踏まえた上での口腔機能低下症の診断方法、検査法、訓練方法を実際の臨床例を交えてご講演いただきました。これらの治療は実際に行うにあたり具体的な方法が非常に難解かつ様々な器具が必要になるイメージがあり、敬遠されがちになってしまっているのが現状です。しかし、今回の講演会ではこれらの治療を出来る限りわかりやすく、かつ簡便に出来る方法を紹介していただき、日常臨床に積極的に導入していくことの重要性を強調されていたのが印象的でした。
<文責 学術理事 小嶋 盟>
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